レポート
アートの仕掛け人 募集
2018年の夏で、この北茨城市に活動拠点を移して1年半が過ぎた。8月20日まで「アートの仕掛け人」の募集がされているので、この記事を書きました。興味を持っている人の参考になれば幸いです。
地域おこし協力隊は、さまざまなメディアで取り上げられていて、よくない話もあるし、実態がわからないところも多い。確かに「地域おこし協力隊」とは制度の名称で職種ではないから、その地域によって活動内容も違ってくる。じゃあ、何なのかと。つまりは補助制度だと思う。このままでは衰退していく地域を活性化させるために、また、都市から地方へ生活や仕事、活動の拠点を移してみたい人をマッチングさせる制度。
だから、その地域で何が起こるのかは、その地域に行ってみなければわからない。例えば、会社の募集要項を見て、転職しても、実際は違うことも多いし、会社の人間関係に至っては、職種や業務形態とは別のところに問題があることも多い。だから、地域おこし協力隊という制度も、同じようにやってみなければ、その地域がどんな場所なのか分かりようがない。
ぼくが思うところ、こんな感じだ。
北茨城市で、募集されている地域おこし協力隊の活動は「芸術によるまちづくり」。内容は、芸術やアート。けれども「芸術によるまちづくり」という具体的な職業があるわけでもないので、その仕事を作るところからスタートする。
①「芸術によるまちづくり」の仕事とは?
漠然としているけれど、日本全国の自治体が活性化をしたいと考えていて、芸術でまちづくりをしている地域はまだ多くない。北茨城市でも始まったばかりだし、つまり任期の3年間で仕組みを作ることができれば起業できる。
②なぜ北茨城は「芸術のまち」なのか?
北茨城市には、岡倉天心がいたこと、横山大観らの近代日本画の作家が活動していたこと、童謡で知られる野口雨情が生まれた地であること、この歴史的背景が「芸術によるまちづくり」というコンセプトに由来している。確かに、先人たちが心を動かされた風光明媚な自然環境が、ここ北茨城にはある。
③現在行われていること
現在、作家として活動している自分と、今回募集しているコーディネーター枠の都築響子さんが「この芸術によるまちづくり」を実践している。ぼくは、北茨城に拠点を作って、今後も活動できるように準備をしている。毎年、桃源郷芸術祭というアートイベントを開催していて、コーディネーターは、これを担当することになる。芸術祭は一年に一回なので、それ以外にも、自分の仕事や活動をどんどんやれる。また、この地には、現在活動している作家先輩も多い。陶芸、日本画、油絵。そうした作家さんたちとのコラボレーションやイベントなど期待されるところでもある。
④待遇について
「地域おこし協力隊の給料が安い」と多くの人は言う。住宅は借り上げされるので家賃はかからない。車は持っていれば車代が支給され、持っていなければ車が支給される。そのほかに活動費も支給されるから決して少なくはないと思う。生きていく上では。北茨城市の場合は、活動に支障がない範囲で副業もOKなので収入を増やすこともできる。ぼくが思うに給料が少ない方が独立するとき、スムーズに移行できる。多く貰ってしまえば、それだけ起業のハードルも高くなるし。まあ途中で泣いても増えないので、理解したうえで応募するのがよいと思う。
⑤環境について
北茨城市は海と山があり、その間に人々の暮らしがある。海から山まで30分ほどで、どちらも楽しめる。活動の拠点となる施設は、旧富士ヶ丘小学校で山側にある。周りは民家と畑と田んぼ。地域の人たちは親切だし、外から来たぼくらが定住できるようにサポートしてくれている。市役所も自由に活動できる環境を与えてくれる。
ざっと説明すると、こんな状況で北茨城市の芸術に「よるまちづくり」は実践されている。
結局のところ、アートや芸術は、日本では、マーケットが小さい業界なので、それで起業して、独立できるのかは、かなりのチャレンジ精神が要求されると思う。ぼく自身、絵を描いて売って、生活しているけれど、それだけで成立するかどうか、未だに不安定だ。けれど、環境の項目に書いたように畑や田んぼはたくさんある。やってみたければ貸してもくれる。半農みたいなライフスタイルもつくれると思う。
アートや芸術をテーマに何かやってみたい、という想いがあるなら、この北茨城市は、全力でサポートしてくれる。ここには失敗という概念はない。なぜなら、始まったばかりだから。失敗もひとつのステップ。実践のひとつ。いろんなチャレンジを積み重ねて、自分が生きやすい環境をつくる、そういう環境がここには用意されている。自分で取捨選択し、自分のやりやすいように仕事と暮らしのバランスを構築する人が、北茨城に定住していけば「芸術のまち」が何年後かに現れると思う。北茨城に限らず、日本に増えていけば、この国はもっと住みやすくなると思う。
募集期間は8月20日までなので、ぜひ応募してみてください。
詳細はこちら
http://www.city.kitaibaraki.lg.jp/docs/2018080600018/
2018年夏 檻之汰鷲(おりのたわし/夫 石渡のりお)