レポート
東京藝術大学『藝祭』学生作品「御輿」に「岡倉天心・北茨城市長賞」が登場!
まだまだ暑い日差しが残る9月あたま、東京・上野にある東京藝術大学では大学祭『藝祭』が行われました。
岡倉天心が事実上の初代校長として立ち上げ、日本随一の芸術の学び舎で行われる大学祭では、芸術の学校ならではの展覧会・映像上映会・演奏会・オペラ・演劇・模擬店などの催しが見られます。
そんな『藝祭』でひときわ注目を浴びるのは、一年生がひと夏をかけて作る「御輿」。
学生達が専攻ごとで分けられた音楽美術合同チームで力を合わせ、御輿を一からデザインし、制作、そして発表のパフォーマンスまでを行う伝統行事です。
藝祭の歴史は長く、1903年の「第一回美術祭」にはじまり、今年で115回目を迎えます。
「御輿パレード」は明治期の美術祭の「仮装行列」に由来し、現在の形まで変化を遂げました。
そんな歴史ある藝祭御輿へ「芸術によるまちづくり」を推進する北茨城市から、「岡倉天心・北茨城市長賞」という新しい賞を作らせていただきました!
岡倉天心や日本美術院の繋がりの深い東京藝術大学で日々芸術の道へ精進する若者たちへ支援となり、これから北茨城との繋がりを深めていくことを目的としています。
9月7日(金)藝祭の当日には、北茨城市長自ら賞の授与のため「御輿パレード」を見学しに上野へ訪れました。
上野公園に降り立ち、まず耳に入るのはリズミカルな打楽器の音色。
藝大サンバ・パーティ(芸大のサンバサークル)の演奏を先頭に、御輿が上野公園の中を練り歩きます。
1980年から始まった藝大サンバ・パーティは浅草サンバ・カーニバルのルーツにもなっているそうです。
※写真は最終日のステージでの様子です。Photo by.のんたん
そしていよいよ御輿のアピールタイムです!今年の御輿のラインナップは全4機。
日本画・工芸/邦楽・楽理 「烏天狗」
油画・建築/声楽・指揮・打楽器・オルガン・古楽 「象」
デザイン・芸術学/作曲・弦楽 「マッドサイエンティスト」
彫刻・先端芸術表現/管楽器・音楽環境創造・ピアノ 「アヌビス」
それぞれ、科の特色の際立つ力作揃いです。
パフォーマンスでは歌あり、踊りありで音楽学部が力を発揮し、煙やシャボン玉の演出など工夫が凝らされていて、それぞれの世界観に引き込まれました。
そんな4機の中で「岡倉天心・北茨城市長賞」に輝いたのは、
油画・建築/声楽・指揮・打楽器・オルガン・古楽の「象」御輿 でした!
「かわいそうなぞうが 今ふたたび上野に花を咲かせる」
インド映画を思わせる陽気な音楽とダンスは、見ている人たちもワクワクして踊りだしたくなりました。
選んだ理由について、市長は「4基とも良くて選ぶのが難しいが、一番わかりやすいのが象。そして、六角堂に似ている『八角堂』が乗っているから」と仰っていました。
象は二ツ島に似ていますし、北茨城の観光名所が合わさったようにも見えてきました。
壇上で賞を受け取った、御輿リーダーの建築科の伊勢巧さんと油絵科の林果梨さんは
「北茨城最高ー!!」と天高く拳を掲げ、舞台下で待機する仲間達からは喜びの声が沸き立ちました!
お二人とも北茨城のことを、これまでご存知では無かったようですが、
「興味を持ちました!」「ぜひ北茨城を訪れてみたい!」と言っていただくことができました。
今回、藝祭御輿を通して、とてもいい繋がりを持てたように思います。
市長はこの御輿をぜひ北茨城の人たちにも見てほしいとのこと。
来年の夏には上野の夏祭りにて出番があるそうですが、もしかしたらその後、北茨城でお目にかかる機会ができるかもしれません。
北茨城市が、芸術家との繋がりを大切にしていくことで、芸術を志す人たちにとっても愛される町になっていくと嬉しいです。
地域おこし協力隊 コーディネーター 都築響子