協力ギャラリー
ランドスケープアート「桃源郷づくり」について。
地域おこし協力隊を経て、集落支援員になった夫婦芸術家、檻之汰鷲(おりのたわし)の夫、石渡のりおです。2017年に東京から北茨城市に移住し、2020年に定住しました。今回は、集落支援員について説明しながら、北茨城市の山間部、揚枝方地区での取り組みを紹介します。
集落支援員とは、過疎や高齢化の問題を抱える地域での、状況把握や活性化に向けた取り組みなどをする人材のことです。ぼくの場合は、定住先が限界集落であることから、市役所の担当者の方が、この制度を適応させて仕事として委任してくれました。
そもそも、ぼくが協力隊になる以前から、揚枝方を芸術の村にするという構想がありました。その一環として古民家をギャラリー兼アトリエ「ARIGATEE」として改修することになったのです。また、揚枝方に暮らしている豊田澄子さんは、後世に美しい里山を残すために、自費で桜の苗木を植樹しました。その行動に感動して、僕たち夫婦は、定住して桜を見守ることにしたのです。また市の方でも、芸術の村にする構想を更に推進するために2020年の春、地域の人々と桜の植樹を実施しました。
という幾つかの経緯が交差する「景観をつくる」という物語が北茨城市の山間部ではじまりました。ですのでぼくにとっての集落支援員の仕事とは、この揚枝方の景観をつくることです。夏に草を刈って、桜を保護し、秋には整備した耕作放棄地に地域の方々と共に菜の花の種を蒔きました。この地域で営まれてきた炭窯の再生にも取り組んでいます。春には花が咲き、秋冬には炭を焼いて、いつの時代とも分からない古くて新しい生活が営まれるのです。
ぼくは芸術家ですから、この集落支援員の仕事もアート活動の一環として捉えています。というのも、人間が生きるためにしてきた活動こそがアートの源流だったのです。つまり「家をつくること、それこそ生きるための周辺環境を構築すること、道具をつくること、食べ物を保存する工夫すること、そういう生きるためにしてきた活動の極端なモノが、祈る際に利用されたり、特別に献上されてきたところからアートが発生してきた」という文化人類学的な仮定で、ぼくは「生活芸術」という表現に取り組んでいます。ですので、景観をつくるという自然環境に働きかける活動も、現代アートとして位置付けしたいと考えているのです。
このプロジェクトは、2020年を始まりとして、月日年月を積み重ねて、景色を作っていく作品です。まだ1年目、先が長いですが、自分のライフワークにする覚悟です。この記事を読まれた方は何かのご縁、どうぞ、ご支援、ご協力のほど、よろしくお願い致します。またご興味を持たれた方・見学を希望される方はこちらまでご連絡ください。
TEL:0293-24-5231 ARIGATEE(担当/いしわた)
mail:arigatee.art@gmail.com
次は、景観づくりのひとつ、炭窯の再生についてご紹介致します。