作家
陶芸
秋元 郁子
ものを作って生計を立てようとするほとんどの人にとって、何が売れるのか?というのは常に悩ましい問いではないだろうかと思う。情報過多な現代は好みの王道というのが存在せずに、みんなそれぞれに好みがあるし、流行というのがあったとしてもそれが過ぎ去るのも早い。秋元さんもそんな風潮に頭を悩ませている一人だ。
笠間で修行し独立した秋元さんは、自らのことを作家ではなくて製陶業だと言う。 「私は作りたいものをただ作るのではなくて、お客さんのニーズに合うように作りたい。 作って使われてなんぼです。」20年前に自分が作った商品を今でも大事に使って下さっていて、(同じものを)修理したいなんてことを依頼頂くと非常にやりがいを感じるのだと言う。
笠間では良い場所がなかなか見つからず、であればと地元の北茨城に戻ってきた秋元さん。今も笠間で作品を販売しているとのこと。
師匠のもとにいた時は、焼き物ブームもあってか全国から注文がひっきりなしだったそう。 ただ、今はなかなか売ることが難しい時代で、福祉施設や北茨城名産のあんこうをモチーフにした商品など色々なところにニーズを求めてやってはいるが頭を悩ませる日々が続いているのだという。 恐らくそれは焼き物に限らず、色々な業界がそうなのだろう。消費者のニーズは捉えにくく、長続きはせずに、売れる真芯をなかなか打つことが出来ない。秋元さんの試行錯誤の日々は続く。