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陶芸家

浅野 健治

実は陶芸の名産地である同じ茨城内の笠間や栃木の益子よりも、陶芸を作り始めた歴史が古いのがこの北茨城地域。 明治以降作らなくなったので、産業は途絶え資料や文献もあまり残っておらず長らく着目されていなかった。 陶芸家の浅野さんは、その歴史に着目し研究と試行錯誤を繰り返しながら、日々自分の表現と眠っている歴史を交差させることに心血を注いでいる。

浅野 健治

いわゆる山奥にある浅野さんのご自宅は、Googleマップに教えて頂いた住所を入力しても正確に出てこない。困っていたところ、浅野さんが迎えに来て下さった。予想していた山奥をさらに奥に進み、見えてきたのはまさに秘境と言えるような場所。風の音、どこかに流れているだろう沢のせせらぎ、鳥の鳴き声に包まれる。そこに、セルフビルドで建てられたという浅野さんが住むログハウスはあった。

住まい

清水

浅野さんは、40歳を過ぎてから陶芸の道を志した。それまでは、高校3年生の時に魅了された日本画をライフワークにしながら、フリーのグラフィックデザイナーとして東京で活動されていた。
だが時代の流れ、東京への違和感、そんなことが重なり故郷である茨城で自らの手を使って、ものを作り生計を立てていく道を選ぶことになる。笠間の窯業指導所、陶芸家荒田耕治氏のもとで経験を積み、ここ北茨城にて独立した。

作業場 その1

作業場 その2

作業風景 その1

作業風景 その2

独立した当時、何か自分なりにこの地だからこそ出来る陶芸を見つけたいと苦心していた浅野さんに運命の出会いが訪れる。「福島のいわき(北茨城のすぐ真上)にある施設で江戸時代にこの地域で作られていたとされている焼き物を見せてもらったら、当時自分が独自に取り組んでいた鮫肌という手法と一緒のもので。これにはもうびっくりしました。何か運命的なものを感じましたね。」ある種の導きであるかのような偶然。浅野さんはそこから、埋もれてしまった伝統に基づきつつも、現代に受け入れられる新しいものを作ろうと試行錯誤している。

作品 その1

作品 その2

作品 その3

作品 その4

作品 その5

世の中には埋もれている価値あるものが、まだまだたくさんある。特に地方にはそれがまだまだ潜在的な資源として眠っているように思う。今のようにコモディティ化されてなかった当時のローカル性から生まれてくる産業にはその地域固有のアイデンティティが凝縮されている。そこには逆に今の時代に必要な大きなヒントがある。浅野さんの活動から、そんなことを気付かされた。

陶芸家 浅野 健治

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