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陶芸家・造形作家
真木 孝成

全身アーティスト。 ある境界を飛び越えた者のみが住むことを許されたような真木さんの自邸にてご本人に直面した時、そう感じた。世間の評価軸とは関係なしに、圧倒的に芸術家として在る人が北茨城の中にひっそりと暮らしている。「アーティストというのは乞食と坊主の中間みたいなもの。」さて、どういうお話しが聞けるだろうか。

真木 孝成

真木さんは神奈川県横須賀市出身。 焼き物には沖縄の友人宅に居候している時に出逢った。その後、高萩市で作陶を本格的に始める。 「インドに行ったら、価値観がガラリと変わった。」日用雑器を作る作家として商業的に軌道に乗ってきたころ、真木さんを変えたのがインドへの旅だったと言う。「道端で今にも死にそうな人がいて、周りの人は誰も助けようとしないんだよね。コーラ飲んだり、タバコ吸ったりしながら傍観してるだけ。びっくりしちゃってさ。人間はいずれ死ぬもの、ということをインドの人はちゃんと分かっているだよね。」

真木さんの自邸
真木さんの自邸「隠れ家みたいな場所が気に入ってる」と真木さん

鎮魂碑というシリーズの作品
インドから帰国した若き真木さんは、次々とコンセプチャルな芸術作品を生み出していく。
こちらはお母様が亡くなられたタイミングで制作された鎮魂碑というシリーズの作品。

「人間の欲があるものは、最終的には見飽きてしまう。そういう欲がない自然のものというのは見飽きないんだよね。」 制作の様子を撮影したいとお願いすると、ちょっと待っててと裏山に消えていく。数分後、颯爽と戻ってきた真木さんは蔓を何本か調達してきた。 それを自身が作った急須の取っ手に無造作にぐるぐるぐりと巻きつけた。「自然の形が一番好きだから、それが形づくられる手伝いをしているって感じかな。」

蔓を急須の取っ手に無造作にぐるぐるぐりと巻きつけ
「こういうのを素材に使うと触りが気持ち良いんだよね。」と。

急須
「ハイっ完成」と真木さん。あまりに迷いのない調達と手捌きに植物の生がそのままへばり付いているような印象がある。

自身の芸術作品のことを語る時、真木さんは前世や輪廻という言葉を使う。 だが、それは決してヒンドゥー教や仏教などの宗教概念からというよりも、真木さんの身体的な実感の方に近いのかもしれない。 「例えば我々はみんな、絶対縄文人というか古代の人の血を内在しているでしょ。だからそういう血というか遺伝子みたいなものが作らせる作品というのがありますよね。」人の一生というは通常寿命80歳前後だが、捉えようによっては1000年、2000年の命。捉えようによっては、人間以外だった前世での情報と感覚。 芸術に真摯に向き合い続けていると、そういうことまで実感出来るものなのか。「もう歳もとってるからゆっくり過ごしたいな。」なんてコタツに両腕まで突っ込んで小さくなっている真木さんがすっと立ち上がった時の立ち姿、姿勢の良さが妙に印象に残っている。

作品 その1作品 その2作品 その3

陶芸家・造形作家 真木 孝成

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