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五浦美術文化研究所所長 藤原貞朗氏に聞く、岡倉天心と五浦の魅力

  茨城大学五浦美術文化研究所

http://rokkakudo.izura.ibaraki.ac.jp/

『五浦美術文化研究所 藤原所長』の画像

 今も五浦に残されている六角堂や旧天心邸を管理しているのが、茨城大学五浦美術文化研究所。 天心偉蹟顕彰会の会長横山大観から、天心遺跡の寄贈の申し出を受けて1955年に設立されました。その研究所の現所長を務めてらっしゃる茨城大学の藤原貞朗教授に岡倉天心、五浦についてお話しを聞いてきました。今も人々を魅了して止まない岡倉天心と五浦を含む北茨城市の可能性とは・・・ 

-五浦美術文化研究所はどのような取り組みをされているのでしょうか?

 天心遺跡を管理するとともに、その業績をしのび日本の近代美術や内外の文化歴史研究を包括的に行っています。最近ですと、天心記念五浦美術館に寄贈される岡倉天心にまつわる資料が増えてきたということもあって美術館と共同調査を学生も含めてやったりしています。それとイベントやセミナーなんかも定期的に開催しています。
『六角堂』の画像

『六角堂』の画像

-藤原先生ご自身の、岡倉天心やその作品との出逢いやエピソードありますか?

 そうですね。私がパリに留学していた時に、フランス語に訳された”茶の本”と出会いまして感銘を受けましたね。論文も書いたこともあります。研究対象としていた人物の遺族に会いに行った時に、日本の美しい本があると逆紹介されたような形でした。

-そういった体験を受けて、藤原先生ご自身は”茶の本”をどのように評価していますか?

 あれは教科書的に言うと、アジアの仏教とか道教とかお茶の精神とか千利休の思想とかを紹介する本なんですけど、その紹介の仕方が非常に岡倉の個性的で作家的なんですね。僕が個人的にも一番好きなのが第六章の花という中で、世間で、人間は十で禽獣、二十で発狂、三十で失敗、四十で山師、五十で罪人といっている。という箇所があるんですね。これたぶん論語の有名な一節のパロディで岡倉自身のことも言ってると思うんですけど。よく人生を見つめてるなと感じるんですね。僕も50代に入ってこの感覚が良く分かる(笑)そういったところからも、懐の深い思想家だなと思いますね。
『天心邸』の画像

-旧富士ヶ丘小学校をアーティストの活動スペースとして整備したりと、北茨城市は今後芸術で街おこしを進めていきますが、何かご意見やアドバイスはございますでしょうか?

 歴史的な文脈を汲みながらということであれば、教育的なものも大事なのかなと思いますね。岡倉天心がどういうことをやって、どういうビジョンがあったのかを勉強する場として。あとは研究所は大学で、美術館は県で、市があってと分散してしまっている側面もあると思うので。連携をして北茨城全体の芸術文化の保全と振興に積極的に取り組んでいきたいと思います。

茨城大学五浦美術文化研究所

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